真っ赤なスープで知られるボルシチ。発祥の地は……ウクライナです。子どもたちが自宅にいながら世界とつながり、現地の料理を作ったりするオンラインイベント「毎小ワールドキッチン」のウクライナ編が5日に開かれました。参加者54人がボルシチ作りに挑戦。クイズを通じ、ウクライナの歴史や美しい風景にも触れました。【松本春香】
今回は、ロシアによる侵攻のため、ウクライナと各家庭をオンラインでつなげません。代わりに、在ウクライナ日本大使館の元公邸料理人・飯島二郎さんがシェフを務めるレストラン「ベトラーヴ・ビストロ・ジロー」(東京都渋谷区)から中継しました。参加費はウクライナ難民支援のため、「国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)」に寄付します。
ボルシチには、キャベツや赤い色のもととなるビーツ、牛肉などを使います。「日本のみそ汁のように家庭によって味が違います。ホウレンソウを使った緑色のボルシチもあります」と飯島さんは話し、肉も「鶏肉や豚肉でもいいです」と教えてくれました。
クイズと写真で旅行気分
ボルシチを煮込んでいる間は、飯島さんの友人で、ウクライナ人通訳の古川イリーナさんにバトンタッチ。民族衣装を着て参加してくれました。「高校生の頃に日本に興味を持って勉強しました」と話すイリーナさん。ウクライナの歴史や文化をクイズにして教えてくれました。
ウクライナは7か国と接し、物の値段の変化の目安とするのは「ボルシチ」。日本と共通の遊びは「じゃんけん」――。参加した子どもたちは、問題を一生懸命考えて、元気よく手を挙げていました。次に、ウクライナのスライドを見ながら旅行気分を味わいました。首都キーウにある世界遺産・聖ソフィア大聖堂、イースターで焼いたパン、一面のヒマワリ畑――。子どもたちから「きれい」「行ってみたい」という声が上がりました。
クイズが終わる頃には、野菜が軟らかくなりました。ここでビーツを加え、さらに煮込むとボルシチが完成します。
伝えたいこと
イベントの最後に、イリーナさんは「日本もウクライナの友達の一つです。戦争が始まってから多くのウクライナ人を受け入れたり、必要な物を送ったりしてくれています。ウクライナに興味を持って、ボルシチを作ってくれたこともサポートの一つです」と感謝しました。飯島さんは「僕は(公邸料理人が主人公の)一冊の漫画がきっかけで、ウクライナで3年間働くことを決めました。何か小さなきっかけが自分の未来の扉を開いてくれると思います。まずは自分の興味をたくさん持ってください」と呼びかけました。
東京都の小学4年生の上田怜さんは取材に「一面に広がるヒマワリ畑がきれいだった。イースターのパンも食べてみたい」と振り返りました。弟で小2の琉唯さんは、普段はあまり野菜を食べないそうですが、「ボルシチはものすごくおいしくて、おかわりしました」と話しました。
ボルシチのレシピ
<材料>(6人分)
水 10カップ(2リットル)▽コンソメ 水2リットル分▽牛肉(もも肉) 300グラム▽タマネギ 1個▽ニンジン 1本▽キャベツ 1/4個
ビーツ水煮(※大根で代用も可能) 1パック(250グラム)▽トマトペースト 40グラム▽塩コショウ 適量▽ディル 2房▽ニンニク 2片▽油▽無糖ヨーグルト 60~80グラム
<作り方>
(1)牛肉・タマネギ・ニンジン・キャベツを細切りにする(大根で代用も可能)。
(2)ディルとニンニクをみじん切りにして器に入れ、ひたるより少し多いくらいの油に漬けてディルのソースを作る。
(3)ビーツ水煮をフードプロセッサーや大根おろしで細かくし、酢(分量外・大さじ1)を加えて混ぜる。
(4)鍋を温めて、油(分量外・大さじ2)を入れて牛肉を炒める。火が通ったら、タマネギ・ニンジン・キャベツ(大根)の順で塩コショウを加えながら炒める。
(5)水分が出て、全体量が3分の2程度になったらトマトペーストを入れ、酸味を飛ばすように絡めながら炒める。
(6)鍋に水10カップとコンソメを入れ、強火で沸騰させる。沸騰したら中火から弱火にして30分ほど煮る。
(7)材料に火が通ったら、ビーツを入れ、5~6分ほど火を通す。
(8)ヨーグルトとディルのソースをかけてできあがり。